NEW MUSIC ACTION の精神

NEW MUSIC ACTION (以下NMA)をはじめてはや2年が過ぎようとしている。といってもNMAとは、いったい何なのかほとんどお分かり頂けないと思うので、まず始めるに至った動機から少し説明したいと思います。

まず誤解をさけるために言っておきたいことは、私は様式美のある音楽も大好きだという事。それと、即興音楽がやりたいと言うよりは、新しい、面白い音楽を創りたいんだということです。

私はもちろん純即興音楽も好きですが、どちらかというと様式へ向かおうとする即興の方に興味があります。音楽っていうものは、そもそも始まりは即興だったと思うし、年月を経てそれが様式になったものが民族音楽で、それらをいろいろな形でミックスしながら音楽は進化してきた。大切なのはそのミックスの仕方なんだと思う。ジャズ+ロック=フュージョンに代表されるA+B=ABのミックスの仕方に比べれば、70年代のプログレッシヴロックシーンは少なくとも独自の美意識でこの作業をしていたと思う。そして、この独自の美意識を引き出してくれるのは即興の精神だと私は確信する。

たまたま私には、まわりに同じようなことを考えて音楽をやっている人間が少しいたので、今まで何とか頑張ってやってこれた。しかし、人間何かを続けて行くには社会や人からそれなりのリアクションがなくては厳しいものです。もちろん即興が、ポピュラリティを得られにくいのはわかるけど、地下社会現象のひとつで終わるのはやはり寂しすぎるんじゃないか。
たとえ小さなものでも、何かを人に伝えたいと思っている人たちがそれを伝える方法がわからずにいるのはとても残念なことだ。面白いことや新しいことをやりたいと思ってる人は実際にたくさんいると思うし、自分もそういう人たちの音楽を聴いてみたいし、一緒に何かできたらいいなあとも思う。

そういう機会や場があまりにも少な過ぎたのは、即興音楽というものの閉鎖性も大きく影響していると思う。そういう意味でももっとオープンな状況を作っていく必要があるんじゃないか。そんな気持ちで、N.M.A.を実行することにした。

私がN.M.Aに望むことは、いい演奏家達が育つような環境を作りたいという事と、そこから生まれるであろう素晴らしい音楽をみんなと一緒に自分も創っていきたいという事。即興というのは形ではなく精神だから、どんな音楽的背景を持つ人にもできる(簡単にいえばジャズミュージシャンである必要はないと言うこと)。セッションする事においても、逆に音楽的背景の違う者どうしの方が予定調和に陥りにくいと言うメリットもある。始めるにあたって参加者に希望したのは、まず真剣にやるんだということと、それぞれが、自分がいい、面白いと思ったことを迷わずに表現してほしいということ。それと"即興音楽"をするのではなくて自分の音楽をしてほしいし、お手本を追いかけるのではなくて、まだ形になっていない自分自身を見つけだしてほしいと思う。

NMAは、幸運にも震災による被害が少なかった神戸のビッグアップルというライブハウスで毎月第一日曜日に実行しています。

最初は、いったいどれぐらいの人たちが集まるか見当もつかなかったが、以外にも20人を越える人が参加を希望してきた。滋賀、徳島、広島、山口、福岡、東京からの参加者がいるのにも驚いた。

最初の三ヶ月は SOLO ACTION 、つまり全員にソロ演奏をしてもらった。次の三ヶ月は DUO ACTION 、その次は GROUP ACTION , COMPOSER' S ACTIONと続いてゆく。現在は、その発展形でその都度違った即興演奏のアイデアを模索中である。

最後に、この企画に賛同して下さったビッグアップルのオーナーの近藤氏と現在200人に及ぶ参加者の皆さんに深く感謝するとともに、新たな参加者、これをみとどけてやろうという人たちを、お待ちしています。